これからペット葬祭事業の開業を考えている方へ
~失敗しないための提案~

第2回 フランチャイズ、開業支援を受けて参入を考えている方へ

第1回 これからペット葬祭事業の開業を考えている方へ

第2回 フランチャイズ、開業支援を受けて参入を考えている方へ

フランチャイズや開業支援を受けてペット葬祭事業に参入した後、
経営が行き詰まってしまうケースが後を絶ちません。 

最大の問題は、当事者の事業計画の甘さが原因です。
〇ペットブームで需要が増加
〇開業資金が安い
〇事業リスクが少ない
などのフランチャイザーや開業支援事業者の甘いキャッチコピーを鵜呑みにしてしまって安易に参入してしまうのです。 

最近、目に余るのが、安価な開業資金を謳い文句に、火葬設備や研修、開業後支援などのパーケージを販売することが目的のフランチャイザー や開業支援をする事業者です。 

 事業とは、継続して行かなければなりません。
上記のような事業者は、このビジネスパッケージを売ることが目的で、購入者の開業後のフォローが事実上なく、事業が継続しにくいことが大きな問題です。
はっきり言えば、ペット葬祭の知識も実績も経験も少ない事業者が、ビジネスパッケージを販売しているのです。 

具体的な問題点は、
〇フランチャイズ・開業支援の誇大広告
〇事業の不適切な説明
〇集客支援の義務違反
〇開業後の支援の義務違反
〇安価で粗悪な火葬設備の販売
〇内容が不十分・不適切な研修 などが挙げられます。 

では、どのようにしたら良いのでしょうか?
契約後にトラブルが起きると解約は多額のペナルティが必要な場合が多く、契約時に弁護士の同席などができれば良いのですが、現実的ではありません。
フランチャイズの場合は、フランチャイザーの経営理念や方針に共感できること。そして、そのビジネスモデルの成長性を見極めること。
開業支援の場合、経営支援や研修が杜撰なことが多いので注意が必要です。当会に火葬炉メーカーが賛助会員になっているので、そちらのサイトなどを参考にするもの良いでしょう。 

また、当会ではペット火葬車の展示会など、会員以外でも参加できる各種研修を開催していますのでぜひお越しください。 

最後に、ペットの飼育数が減少する中で、全国に1000社を超えるペット葬祭事業者が存在します。
決してブルーオシャンの状況ではありません。
飼い主様にとって大切な家族である「ペットの死」。
このお別れを演出し、お手伝いするのが私たちの仕事です。
飼い主様に全力で寄り添うため、精神的にも大変な業務で、決して、誰にでもできる仕事ではありません。
「我こそは、この最高のお手伝いができる」と思う方だけが、この業界に適応できると思います。

2021年12月6日
ペット火葬協会
会長 高橋 達治

第1回 これからペット葬祭事業の開業を考えている方へ

日本国憲法に営業の自由の経済的自由権が保障されています。したがいまして、ペット葬祭事業を新規で開業したいとお考えの方に否定的な意見を述べるつもりはありません。ペットが亡くなられた飼い主様に対する熱い「想い」を持った新規参入者は大いに歓迎します。

しかしながら、当会に経営が上手く行かず相談をしてくる事業者が後を絶ちません。そのほとんどが、開業直後、設備投資後、フランチャイズ契約後、といった事業または投資をスタートしてしまってからの新規参入者の相談です。

その特徴は、事業計画の見通しの甘さです。

起業するには、いろいろな人に相談することでしょう。家族、友人、同僚、火葬経験者、火葬炉メーカー、商工会議所、コンサルタント、金融機関・・・。その上で、市場の動向や未来を分析し、骨子となる事業計画を策定します。

当会に相談に来る事業者の殆どが、下記の質問をしても答えられません。
1. 商圏にペット葬祭事業者は何社あるか?
2. 犬猫の飼育数はどれくらいあり、その動向は?
3. 商圏に規制される条例などはあるか?
4. 火葬炉の1次炉、2次炉の違いは?

これらは事業計画を策定する上で、最低限の知識や事柄の一部です。では、何故知らないのでしょうか?
当事者が調べないことが最大の問題ですが、相談者がその事実を伝えない、または事実とは異なった事柄を伝え、そのまま鵜呑みにしているケースが多く見受けられます。

忌憚なく申し上げて
「ペット葬祭事業に参入すれば儲かる」
「ペットブームだから儲かる」
というのは鵜呑みにできません。
たいへん厳しいといわざるを得ません。

まず、「儲けるため」にこの業界に参入する事業者は失敗します。
それは何故でしょう?
ペット葬祭事業は、悲しみの最も深い心理状態の飼い主様にサービスを行う特殊な仕事です。心から施主様に寄り添う姿勢があって初めて成立するのです。つまり、中途半端な想いや態度で顧客満足度を得られる事業ではないからです。

最後に、これからペット葬祭事業の開業を考えている方へお伝えします。
飽和状態のこの業界で生き残るのは決して容易ではありません。

1. 飼い主様に寄り添う気持ちと、商材、商品はありますか?
(どんな特長がありますか?)

2. 市場の将来性を自分で調べ、洞察していますか?
(例えば、ペット飼育数とその動向、同業者数やその特徴を調べましたか?)

3. 条例について調査し、内容を理解していますか?
(例えば、当会の勉強会にご参加いただいた埼玉県草加市の条例を調べましたか?同じような条例が商圏の自治体にいつ制定されるか分かりませんよ・・・)

4. 事業をする上で最重要なツールである、火葬炉の知識を持っていますか?
(当会では賛助会員に火葬炉のメーカーがあり、当会員はこのメーカーから購入しているところが大半です。条例に適合できる火葬炉を販売しているこれらのメーカーを推奨します。)

【適合した設備】+【しっかりした事業計画】×【事業に対する熱い「想い」】
これが失敗しないための方程式です。

※現状を踏まえ、当会では新規事業者に向けた研修制度を新設する予定です。

2020年11月11日
ペット火葬協会
会長 高橋 達治